『文化人・芸能人の多才な美術展』出品者の声

秋川雅史さん

大ヒット曲「千の風になって」で有名な秋川雅史さんですが、今回初めて「文化人・芸能人の多才な美術展」に出品していただくことになりました。秋川雅史さんの出品作のエピソードや、アートとの関わりについてなどをお聞きします。

Q1.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

この度は、第21回『文化人・芸能人の多才な美術展』2020にご出品いただき、誠にありがとうございます。
秋川雅史さんは、テノール歌手であり、クラシック音楽とポピュラー音楽がクロスオーバーしたクラシカル・クロスオーバーの分野にて活躍されていますが、「木彫刻」が特技であることはご存知ない方も多いのではないでしょうか。
今回は、日本家屋の装飾や仏像彫刻などで知られている日本の伝統的な「木彫刻」の作品をご出品いただきました。
秋川雅史さんは愛媛県西条市のご出身だと聞いておりますが、どのようなことがきっかけで彫刻に興味を持たれたのですか?
また、そうした「木彫刻」の作品について、当美術展にご出品いただくことになった際のご感想なども併せてお聞かせ下さい。

A1.秋川雅史さん

私は愛媛県西条市の生まれ育ちで、我が町には日本最大級のだんじり祭りがあります。
木彫刻が屋台一面に施されただんじりが80台も勢揃いする壮大な祭りです。子供の頃から、その木彫刻に憧れ、上京してからも全国のいろんな彫刻の名所を見る旅をしたりしていました。40歳を超えた頃、歌以外で打ち込める何かを見つけたいと思い、兼ねてから興味があった木彫刻を始めることにしました。
最初は昔から見て育った彫刻のイメージを、見様見真似で彫っていたのですが、彫刻刀の使い方や研ぎ方、また木の特性など習わないといけないと感じ、探した先生が仏師の先生だったのです。そこから、仏像彫刻に興味を持ち始めました。
今では仏像から、龍、人物像まで様々な題材の作品を彫ってます。この美術展は、かねてより興味を持っていましたが、今回ご縁があって出品することができました。
本筋の才能以外で人はどこまで自分の可能性を引き出すことができるのか、という挑戦のばとして、とても興味のある展覧会だと思います。

Q2.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

続いて、出品作の「神秘のヴェール(ヴェール観音)」について質問させていただきます。作品の観音菩薩は、どのような経緯で制作されることになったのでしょうか?
また、「神秘のヴェール(ヴェール観音)」の制作にあたって、苦労されたことや、上手くいったポイントなども教えて下さい。

A2.秋川雅史さん

私は20代の時イタリアで生活をしていました。
イタリアでは街の至るところにブロンズ像や、大理石の彫刻を見かけます。日本の仏像は麻や質感のしっかりとした生地の衣を纏っているのに対して、ヨーロッパの大理石の彫刻は、向こうが透けるような薄いヴェールを被っているものが多いという違いを感じました。
観音像は人間美を追求し、最も美しく見える人間の姿を、東洋人の感覚で作り上げて来たものであります。またヨーロッパでは人間の美しさの追求を、聖母マリア様を題材に作り上げてきました。そこで一枚布を被せることにより透けて見える美しさを考え出し、ヴェールという文化が生まれたのです。
その日本とヨーロッパの両方の美をミックスすることで究極の“神秘”を作り出したいと思い、この作品を製作しました。
そもそも芸術とは宗教から発展した背景があります。ヨーロッパでは教会から音楽が発展し、日本では神道から雅楽が発展して来ました。
音楽も美術も宗教から究極の美が生まれるのだと思います。


Q3.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

「木彫刻」は、どのようにして技術を磨かれたのですか?
また、「表現」といった意味では、歌と彫刻は異なるアプローチだと思いますが、何か共通することはありますか?更に、今後どのような木彫刻(他の芸術活動も含む)に挑戦してみたいとお考えか、教えていただければと思います。

A3.秋川雅史さん

木彫刻の技術は、やっぱり毎日コツコツ彫る事で磨いてきました。
あとはいろいろな名作を見に足を運んだこともあります。
歌と彫刻の大きな違いは、形が残るか残らないかという事だと思います。共通することは、自分を成長させるために常に全精力を注ぎ込むことですね。今は馬に乗った武将“楠木正成像”と、大きな龍を並行して彫ってます。
あとは時々書道もやってますよ。

Q4.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

今年の『文化人・芸能人の多才な美術展』2020 のテーマですが、2020 年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることを見据え、日本がさらに国際的にも評価される国であってほしいという願いから「絶大なる影響力と愛」をテーマとして開催することになりました。
当美術展の趣旨やテーマについて、秋川雅史さんに共感していただいたことなど、コメントしていただけると幸いです。

A4.秋川雅史さん

日本の国宝第1号も木彫作品であることからも分かりますが、木彫刻は日本が誇る最も崇高な文化とも言えると思います。
私は、こうした素晴らしい文化が更に発展し、また誰もが気軽に彫刻を楽しめる世界になることを願っています。そのような思いもあって、今年の美術展のテーマをお聞きし、とても共感するところがありました。

Q5.『文化人・芸能人の多才な美術展』実行委員会

最後に、秋川雅史さんのファンの方々に向けたメッセージをお願いします。

A5. 秋川雅史さん

趣味は人生の幅を大きく広げてくれます。彫刻を始めたことで、他のいろいろなことにも興味を持つようになり、新しい人間関係も生まれました。ぜひこれを機会に自分も何かに挑戦しようと思うきっかけになってくれたら幸いです。

■秋川雅史さん プロフィール

1967年、愛媛県西条市生まれ。
4歳よりヴァイオリンとピアノを始める。
後に声楽家である父の指導のもとに、声楽の道へと転向する。
2001年CDデビュー。
2006年に「第57回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たし、「千の風になって」を歌唱。
翌年、紅白出演での歌唱が大きな反響となり100万枚のセールスを達成。
2007年の年間チャート1位を獲得。
現在も全国で精力的にコンサートを行う。